今回は、良く切れ長く切れする包丁の鋼についてご案内したいと思います。
あくまでも刃物についての初歩的説明ですので刃物の詳しい方には物足りないかもしれませんが
カンベンしてくださいね！
切れる包丁と長切れする包丁を作るには、良質の鋼が必要となります。
もちろん製造する職人が鋼の性質を熟知していなければならない事も重要です。
鋼とは・・・ 炭素含有量0.02～1.7％の金属を一般的に鋼と呼びます。
適切な焼き入れと焼き戻しによって硬度を飛躍的に高める事が可能となります。
切れ味の持続度合いは、硬度と耐磨耗性が目安となります。高度は数値的に表示できますが
耐摩耗性の数値化は難しく炭素や各種添加物の含有量から判断します。
どちらにしても、実際に使ってみれば良し悪しがハッキリ出るのが刃物です。
硬度をするには、炭素（カーボン）が高くないと硬度が上がり難いです。
注意！それ以外にも成分が必要です。
炭素鋼は、炭素量が多い為錆び易くなっております。
ステンレス系鋼材は、炭素量が少ない為錆び難くなっております。
以前は炭素鋼の方が硬度が高く、良く切れる。
ステンレス系鋼材の方が錆難いが硬度が低く切れ味は劣るとされておりましたが、
近年では、炭素鋼に勝るほどのステンレス系鋼材が現実となりました。
（代表としてパウダーハイス・Ｖ金10号）
製造方法もそれぞれあり包丁の刀身全体を鋼で作る全鋼と
鋼を地金で挟み込む割込み包丁もあります。
その製造包丁からも硬度・長切れ度か変化します。
ちなみに全鋼品よりも割込みの方が硬度が入ります。
良く使われる包丁の鋼の特徴を記載しましたので包丁を選ぶ基準としてご覧下さいませ。
製造元のメーカーのよってサブゼロ処理などにより記載されている硬度が異なる場合がございます。
どの鋼を使用しているかの目安としてください。
最下部に鋼の成分の役割も記載しました照らし合わせながら見てください！
（炭素鋼）錆に強くありません
安来鋼 白紙2号：高級刃物鋼の元祖で代名詞的存在！
包丁・鎌・鉈・鉋など様々な刃物に使用されています。
炭素含有量が1.2～1.3％と高く、リン・硫黄とうの不純物が極めて少ない。
急冷しないと焼きが入らないなど熱処理が難しく職人やメーカーの腕が試される。
高硬度で不純物が少ない事で砥石にノリ易く。研ぎ上げ後は非常に鋭利な刃が付くきます。
より炭素量の多い、白紙1号も存在するが現在では
打てる職人も少なく商品としての供給は非常に少ない。
硬度60～64ＨＲＣ（硬度は職人と刃物の種類によって異なります）
当店取り扱い品： 藤次郎・忠房・正本総本店・藤下新次作・鳳皇琳作 その他
安来鋼 青紙2号：白紙2号鋼に少量のクローム（0.5％未満）とタングステン（1～1.5％）を物が
青紙2号です。特徴としてこの2種の添加物を加える事により白紙鋼の熱処理の難しさを解消し
より高硬度にして同時に粘り強さも有します。耐摩耗性も非常に高い鋼であると言うことで
本職向けの刃物に使用される事が多い傾向となります。
一方で、添加物を含有する為研ぎ辛く研ぎにくいのが難点です。研削力のある砥石が必要です。
硬度60～65ＨＲＣ（硬度は職人と刃物の種類によって異なります）
当店取り扱い品： 藤次郎・忠房・正本総本店・藤下新次作・鳳皇琳作 その他
（ステンレス鋼）錆に強い
パウダーハイス ＳＵＰＥＲ-ＧＯＬＤ：現在の鋼材で、鋼の王様クラスに君臨する超高級鋼材、
タングステンやその他有効成分を多量に含んでおりますので
耐磨耗性にも大変優れております。
炭素量も高く高硬度を実現！錆に強く素晴らしい切れ味と長切れ度は最高クラス！
長切れは素晴らしいです。
高級包丁です。
硬度63～64ＨＲＣ（硬度は職人と刃物の種類によって異なります）
当店取り扱い品：本鍛造ダマスカス鋼 鳳皇琳 パウダーハイス http://hamono.ocnk.net/product/836
本鍛造 鳳皇琳 パウダーハイス http://hamono.ocnk.net/product-list/132
パウダーハイス ＳＵＰＥＲ-Ｘ ： 上記のＳＵＰＥＲ-ＧＯＬＤと比べクロームを減らし
炭素量（カーボン）を多く含んだ鋼材です。
超硬度69ＨＲＣを実現しました。超高硬度と耐磨耗性の両方に優れているので
切れ味の保持力が最も優れた包丁です。
ただし、炭素量を多く含んでいる為、錆には弱くフッ素樹脂コーティングなどを
採用すると管理が手軽です。硬度69ＨＲＣ（硬度は職人と刃物の種類によって異なります）
当店取り扱い品：鳳皇琳 パウダーハイス SUPER-X http://hamono.ocnk.net/product/1086
Ｖ金10号スペシャル鋼 ：厳選された純度の高い原料に、炭素（1％含有）、クローム（15％含有）・
モリブデン・ヴァナジューム・コバルトを含有させた最高峰の高炭素ステンレス鋼です。
錆に強く切れ味も非常に永く保持できます。希少金属のコバルトを添加する事で
高い硬度と強靭性（粘り強さ・耐摩耗性）の両方を実現します。
硬度62ＨＲＣ（硬度は職人と刃物の種類によって異なります）
当店取り扱い品： 本鍛造 ダマスカス鋼 鳳皇琳 シリーズhttp://hamono.ocnk.net/product-list/127
伝統工芸士 浅井丸勝作 http://hamono.ocnk.net/product-list/142
本鍛造 梵天雲龍 63層ニッケルダマスカス http://hamono.ocnk.net/product-list?keyword=%E6%A2%B5%E5%A4%A9
440Ｃ鋼 ：耐腐性を高めるためにクロームを多く、
切れ味を良くするためにカーボンを多く含有させてある。
アメリカで開発された鋼材でＳＵＳ基準として炭素量でＡＢＣ区別されている。
硬度57～59ＨＲＣ（硬度は職人と刃物の種類によって異なります）
当店取り扱い品：ミソノ440シリーズ http://hamono.ocnk.net/product-list/16
440Ａ鋼ベース：愛知製鋼のクローム鋼（ステン）包丁やダイビングナイフとして利用される。
硬度57～60ＨＲＣ（硬度は職人と刃物の種類によって異なります）
当店問い扱い品：グレステン http://hamono.ocnk.net/product-list?keyword=%E3%82%B0%E3%83%AC%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%B3
スウェーデンピュアステンレス：スウェーデン製の高純度ピュアステンレス特殊鋼成分調査中・・・
硬度59から60ＨＲＣ（硬度は職人と刃物の種類によって異なります）
当店取り扱い商品：ミソノＵＸ10 http://hamono.ocnk.net/product-list/17
鋼においての各種添加元素の効果
炭素（Ｃ）：硬さ強度を増す根本元素。刃物鋼には通常0.6～1.5％含まれる。その鋼の性質によって
適正な含有量があり必要以上に多いと脆さと錆び易さがでる。
クローム（Ｃr）： ステンレス鋼における基本元素で12％以上加えると錆び難さが著しく増します。
また少量（0.5％未満）を加えると焼きが硬く均一に入りやすくなり切れ味や耐摩耗性が大幅にます。
パウダーハイスのようにタングステンと共に加える事で効果上がる。
タングステン（Ｗ）： 粒子を微密にし、耐摩耗性を上げ、焼きが入り易くする。強力な複合炭化物を作り
焼き戻し抵抗性・強度・熱間強度をます。主に青紙・パウダーハイス
マンガン（Ｍn）： 少量（1％未満）添加すると鋼の硬さ、粘り強さを増す。
硫黄の悪影響を取り除いたり焼き入れ易くする役割も果たす。
モリブデン（Ｍo）： 焼きが入り易くなり粘り強く刃こぼれが起き難くなる。切れ味や耐磨耗性が上がる。
研ぎ上がりが良い。炭素と結合し複合炭化物を作る。
ヴァナジューム（Ｖ）： 焼き戻し抵抗性を増し2次効果作用があり強度を増す粘り強くし刃こぼれを起こし難くする。
組織を微細化し刃の欠けを防ぐ。
ニッケル（Ｎi)： 少量（0.5％未満）加える事で焼きが硬く均一に入る。粘り強さを増す。組織を微細化し刃の欠けを防ぐ
地金に加える事で、光沢感をまし錆難くする。
コバルト（Ｃｏ）：刃の欠けを防ぎ素地を強化し炭化物の脱落を防ぐ。高炭素鋼に添加する事で、高硬度と強靭性を両立させる。
Ｖ金10号スペシャル鋼に含有する。
包丁の価格の差は、鋼のランク・仕上げや柄材・刃付けにもよります。
当店では、良い商品でも激安で特価販売している物もありますので
どの包丁にしたら良いのか解らなくなったら問い合わせしてくださいね！